紫夏（キングダム）の徹底解説・考察まとめ

趙の国の最後の関所を通過した紫夏達一行だったが、秦国の王子が脱走した事に気付いた趙軍が追手を放ってきた。必死に逃げる一行だったが、脱出の手引きをするために動き回った秦国武官の道剣（どうけん）は全身に矢を受けた事によって死亡してしまった。紫夏と一緒に兄弟のように育だった亜門（あもん）と江彰（こうしょう）にも追手が迫ってきた。亜門は江彰に対し馬上から、紫夏に告白しなかった事を悔やんでいる話をした。それに対し江彰は、自分は十六歳の時に告白して振られていた事を暴露した。その事実に驚いた亜門だったが、少しでも追手を妨害するために、自らが乗ったまま率いていた馬車を横倒しにし、身を挺して追手の追撃を遅らせた。続く江彰も、「亜門のようにカッコよくはいかないが、惚れた女の傍で死ねて上出来だ」と言い残し、矢が刺さった体で趙兵に特攻していった。その最中で目を覚ました嬴政（えいせい）は、紫夏に手綱を取るよう言われ、絶対に振り向くなと告げられる。紫夏も趙兵の矢を受けながらも矢で応戦。時間を稼ぐ事に成功した。紫夏が致命傷を負った直後に、砂煙に気付いた秦国軍が救援に駆け付け、無事に嬴政を保護する事に成功した。

紫夏の関連人物・キャラクター

嬴政（えいせい）

嬴政（えいせい）は、第三十一代目の秦国の国王で、後の秦の始皇帝である。四百年続く戦乱の時代に誰もが成し得なかった中華統一を達成する事で、戦乱の世を終わらせようとしている。嬴政の父・荘襄王（そうじょうおう）は戦神と呼ばれた昭王（しょうおう）の孫にあたるため、嬴政は昭王の曾孫という事になる。荘襄王は人質として趙国で生活していたため、嬴政も趙国で生まれた。当時秦国は趙国と戦乱状態にあり、人質の荘襄王や嬴政、母の太后（たいこう）は、趙国で過酷な生活を送ってた。特に趙国の兵士40万人を秦国が生き埋めにした長平の戦い後は、その仕返しの矛先として母子共に日々、趙国の人々から暴力に晒されていた。次第に嬴政は人間の闇に触れ続けた事で感情を失い、味覚・痛覚・嗅覚までもがなくなり、人を信じる事ができなくなってしまった。昭王が崩御し、父親が荘襄王として即位したため、嬴政は趙国から秦国へ救出される事となった。その救出劇に大きく貢献したのが紫夏であった。紫夏が、趙国の追手から身を呈して嬴政を守る過程で、闇に囚われていた嬴政の心を救い出す。自らの命を懸けて自分を守った紫夏に人の光を教えられた嬴政は、中華から悲劇を生む戦乱の世を次の世代に引き継がないために中華統一を志す事となる。

紫啓（しけい）

紫啓（しけい）は、趙国の商人であり紫夏の養父である。紫啓「自分が受けた恩恵は他人に返す事で、大きな意味を持つ」というポリシーがあり、戦災孤児となり餓死しそうだった紫夏と、闇商で知り合った江彰（こうしょう）、亜門（あもん）を養子にして育てた。紫夏が十歳の時に、紫啓は再び別の人を救おうとして命を落としてしまった。紫啓は亡くなる前に最期の言葉として、紫夏をはじめとする三人の養子達に「私の命も幾人かの命によって救われてきた、その恩をお前達に注いできた、お前がこの先他人のために何かできたら、それは私にとって大きな意味を持つ、受けた恩恵を次のものへ」と言い残した。紫夏はその言葉を胸に、家督を継ぎ、商売の規模を紫啓の倍にまで増やす事に成功させ、天才商人と呼ばれるまでになった。

亜門（あもん）

亜門（あもん）は、趙国の商人、紫啓（しけい）によって育てられた闇商人。紫夏と江彰（こうしょう）と共に兄弟のように育てられた。若いころから紫夏には恋心を抱いていたが、その想いを伝えるには至っていなかった。当初は、秦国の王子・嬴政（えいせい）を趙国から脱出させるという、秦国からの依頼を断るが、紫夏から、紫啓の最期の教えである「自分が受けた恩恵は他人に返す事で、大きな意味を持つ」という言葉を忘れたのかと説得され、仕事に応じる事になる。一行が趙国最期の関門を抜けた直後に追ってきた追手から、紫夏や嬴政を守るために奮闘した。亜門は最期に江彰に対し、紫夏に告白くらいしておくんだったと後悔の念を告げるが、江彰と交わした「有事の際に最後に死ぬのは紫夏だ」という約束を果たすべく、自ら引いていた馬車を倒し、身を挺して追手の追撃を遅らせた。

江彰（こうしょう）

江彰（こうしょう）は、趙国の商人、紫啓（しけい）によって育てられた闇商人。紫夏と亜門（あもん）と共に兄弟のように育てられた。若いころから紫夏には恋心を抱いていたが、十六歳の時にその想いを伝え、紫夏には「家督を継ぐ」と言われ振られている。当初は、秦国の王子・嬴政（えいせい）を趙国から脱出させるという秦国の依頼を断るが、紫夏から、紫啓の最期の教えである「自分が受けた恩恵は他人に返す事で、大きな意味を持つ」という言葉を忘れたのかと説得され、仕事に応じる事になる。一行が趙国最期の関門を抜けた直後に追ってきた追手から、紫夏や嬴政を守るために奮闘した。亜門は最期に江彰に対し、紫夏に告白くらいしておくんだったと後悔の念を告げるが、自身は既に昔告白していた事を告げる。亜門は驚くが、江彰と交わした「有事の際に最後に死ぬのは紫夏だ」という約束を果たすべく、自ら引いていた馬車を倒し、身を挺して追手の追撃を遅らせた。江彰の元にも追手が迫った際には、「亜門の様にカッコよくはいかないな」と嘆くものの、「惚れた女の傍で死ねるなら上出来だ」と言い残し、矢を射られた体で追手の趙兵の隊に単身で突入していき最期を迎えた。

道剣（どうけん）

道剣（どうけん）は、秦国の武官で後に大王・嬴政（えいせい）の教育係を経て秦国丞相として活躍する昌文君（しょうぶんくん）の側近の一人。弓の名手で判断力も高い有能な武将。紫夏達に嬴政の脱出を依頼する任務を受け趙国に入るが、一旦は断られたため、自分たちの力のみで嬴政の脱出を図る。嬴政を連れ出した直後に紫夏達の協力が得られたため行動を共にするが、趙国最後の関門を通過した後に迫ってきた追手の騎馬隊によって弓を射られ絶命してしまう。

紫夏の名言・名セリフ／名シーン・名場面

「商人が運ぶ品を確認するのは当然ではありませんか」

秦国王子である嬴政（えいせい）を趙国から脱出させて秦国へ送り届ける依頼を受けた紫夏達に対し、秦国の武官・道剣（どうけん）は依頼の詳細を知ってしまった以上、断った場合は生かしておけないと述べた。しかし、紫夏達もこの依頼を受けてしまうと、趙国から国賊として捉えられてしまう可能性があるため、慎重になっていた。そこで紫夏は、運び出す嬴政の事を敢えて”積み荷”と呼び、「商人が積み荷を確認するのは当然の事」と言い放ち、道剣を制した。道剣は王族の子を積み荷とは何事かと憤るが、紫夏達はこれによって得た時間で嬴政について調査をおこない、大きなリスクを負ってでも引き受ける仕事なのかどうかを検討する事にした。この得た時間で紫夏は嬴政が、敵国の王族の子として嬴政が過酷な日々を送っている事を知り、手を貸さなければならないと認識する事となった。

「月がいつも以上に輝いているのは、くじけぬようにはげましてくれているのだ」